不動産をやる理由・やめたくなる理由|実物資産とペーパー資産を比較する現実的な資産戦略

不動産

結論|不動産はレバレッジと節税効果が魅力。ただし、手間とストレスは常に存在する

不動産は、融資を使って資産を拡大でき、減価償却による法人税の繰延べなど、他の投資にはないメリットがあります。 一方で、借入・空室・トラブル対応などのストレスは避けられず、株式や債券、REIT(不動産投資信託)などのペーパーアセットとは異なり、常に一定の手間がかかる「事業型投資」です。
今回はそれぞれのやる理由・やらない理由について考えていきます。


不動産をやる理由|資産形成における効率性が高いから

  • 融資によるレバレッジが使える:少ない自己資金で大きな資産を構築できる
  • 減価償却などの節税効果が高い:法人を通じて税負担をコントロールしやすい
  • 外注しやすく再現性がある:仕組みづくりが得意な人には向いている

これらの理由から、一定規模の資産を短期間で築く手段として、実物不動産は今も有効です。


不動産をやめたくなる理由|事業としての性質による負担

  • 借入・空室・入退去トラブルなどのストレスが常にある
  • 管理会社・仲介会社に外注しても、最終判断は経営者自身
  • 株式・債券・REITと違い、完全な“放置”はできない

不動産は一般的な事業と比べて外注しやすく、手間も分散可能ですが、「完全自動化」ではなく、「低頻度な経営判断が求められる事業」です。1物件1社の経営と考えて運営してちょうど良いと思います。そのくらいの心身ストレスを借入と共に抱えることとなります。


資産運用の再設計|ペーパーアセットという選択肢

将来的に「自由な時間」を優先したいなら、株式・債券・REITなどのペーパーアセットに資産を移行していくのも合理的です。

  • 株式:企業の成長を期待しつつ、配当や値上がり益を狙える
  • 債券:元本が比較的安定し、定期的な利子収入がある
  • REIT(不動産投資信託):不動産の分配金を享受しつつ、実物資産より手間が少ない

これらは、不動産のような管理負担がなく、流動性も高いため、「出口戦略」として非常に現実的です。

不動産を続けて規模拡大を狙うのも一つ、ペーパーアセットへ切り替えるのも一つ。どちらを選ぶにしても、「何を重視するか」で判断が変わってくるのが資産運用の本質です。


不動産とペーパーアセットの比較

項目不動産株式・債券・REIT
レバレッジ使える(融資)原則使えない
管理の手間中〜高
経営判断必要基本不要
流動性低い高い
税制節税しやすい配当課税が基本

数字で見る不動産の加速力|10年で手間と効率のバランスを整える

不動産投資のメリットは、手残り収入と元本返済による資産形成を同時に進められる点です。一方、将来的には手間をかけずに運用できる投資先として、株式・債券・REIT(不動産投資信託)などの“ペーパーアセット”を活用する選択肢もあります。

ペーパーアセットとは、株式・債券・REITなど、現物を持たずに証券化された資産を保有する運用手法のこと。一般的に手間がかからず、配当や利子収入を得ながら、資産の流動性も高いのが特徴です。

ここでは、「最終的に配当収入で生活費を賄うにはどれくらい資産が必要か?」という視点で、不動産とペーパーアセットの組み合わせがどれほど加速力を持つかを数字で解説します。

✅ 前提:どのくらいの資産が必要か?

  • 一般的なサラリーマン家庭の年間生活費を 500万円と想定
  • 投資で生活費を賄うには、その金額を“利回り”で逆算する必要がある
  • 仮に利回りを 4%(税引き後の安定配当利回り)と仮定した場合、 → 必要な元本は 約1億2500万円

この前提のもとで、「貯金で積み上げた場合」と「不動産で加速した場合」で、資産形成のスピードがどれだけ変わるかを見ていきましょう。

✅ ステップ1:目標を逆算する

  • 年間500万円の生活費が必要 → ペーパーアセットで4%運用と仮定
  • 必要資産は 約1億2500万円

✅ ステップ2:貯金で達成する場合

  • 年間200万円を貯めると仮定 → 必要試算約1億2500万円達成までに約62年
    ※途中の運用利益は考慮せず

✅ ステップ3:不動産を併用して加速する場合

  • 借入で1億円の不動産(ROI2%)を購入し、返済後年間200万円の手残り
  • ステップ2の貯金に加えて投資すると →年間400万円の投資→ 30年で達成
  • 上記同様の不動産をもう1棟保有すると → 年間600万円の投資→ 約20年で達成

✅ ステップ4:元本返済の効果も考慮

  • 年間返済500万円(想定) × 2棟 × 10年 = 1億円の元本返済(物件売却時利益)
  • 返済後CF200万円/棟 × 2棟 × 10年 = 4000万円の現金
  • 合計:1億4000万円の資産が10年で形成できる

    10年後不動産を売却し、手残りの1億4000万円をペーパーアセットで年利4%で運用すると、 年間560万円の配当収入となる。労働+2棟2億円の借入で、ペーパーアセットによる所得確保が、約10年での達成も視野に入る。

➡︎ このように、不動産は“資産形成の起点”として非常に効率的です。


まとめ|やる理由・やめる理由の両方を理解して向き合う

  • 不動産は短期間で信用と資産を築ける投資
  • 一方で、事業としての負担・ストレスは避けられない
  • ペーパーアセットへの移行も含め、出口戦略を前提に動くことが大切

やる理由・やめる理由を整理したうえで、自分のライフスタイルや資産目標に合わせて、不動産投資と向き合うことが、現実的で再現性のある資産形成の第一歩です。


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