収益物件は購入時の条件で将来の安定度が大きく左右されます。利回りや立地だけに目を奪われると、後から空室や修繕費、出口戦略で苦労することになります。ここで紹介する5つの条件は、私が何百件と物件を見てきて、長期的に安定運営できると判断した基準です。
1. 適法であること(再建築不可・違法建築は避ける)
違法建築は金融機関の融資がほぼ付かず、売却も困難。最初から対象外です。
混同しやすいのが既存不適格。これは建築当時は適法だったものの、法改正で今の基準に合わなくなった状態です。既存不適格は現状ままでの運用は可能ですが、融資がつきづらかったり、建替時には現行基準が適用されるため、是正が必要になったりと少々癖があります。
売買検討時にこの点は仲介会社へ必ず質問を行いましょう。この違いを判断できない仲介会社は、そもそも力量不足。そういう会社が扱う物件は避けた方が安全です。法令制限の確認は必ず仲介に依頼し、売買契約前に文書回答をもらうことが重要です。
2. 積算価格が販売価格に近いこと(担保価値と賃料の妥当性)
積算価格とは、土地と建物の評価額を合計したものです。
- 積算価格と販売価格の差が大きすぎる場合は、利回りが取れていても賃料が相場より大幅に高い可能性があります。
例:期間限定の高額賃貸、実態は民泊運営など。 - 積算価格で買えるのが理想ですが、積算より2〜3割高い程度なら許容範囲。それ以上乖離する場合は、高利回りの根拠を必ず精査すべきです。
3. 管理条件・サブリース契約が付いていないこと(経営の自由度)
管理契約必須物件は、売買後も同じ管理会社と契約を継続しなければならない条件です。本来、管理会社はオーナーが選ぶべきものであり、経営判断を制限される物件は候補から外します。
サブリース(マスターリース)は、最初は空室リスクを肩代わりしてくれるように見えますが、数年後の契約見直しでほぼ必ず賃料を下げられます。保証賃料を支払うために、実際の入居者の賃料を下げてでも空室を埋めたいからです。下がった賃料は次回の見直し時の基準となり、さらに約10%低い保証賃料になります。結果、サブリース会社は常にオーナー賃料の10%前後を抜き続ける構造です。契約解除ができない物件は避けるべきです。
4. 融資条件と収益性が合致していること(ROI2%/CCR20%以上)
融資が付くかどうかは、これまでの条件を満たしているかで決まります。同時に、ROI(総投資額に対する年間手残り率)が2%以上、CCR(自己資金に対する手残り率)が20%以上でなければ、リスクに見合うリターンは得られません。
これを満たしていないなら、無理して買う必要はありません。ここが最もハードルの高い条件です。
5. 需要のある立地であること(物件タイプ別の条件)
立地は物件タイプによって「需要の定義」が異なります。
- 住居:駅近や商業施設へのアクセスが良いエリア
- 倉庫・事務所:インターそば、搬入出スペースの確保
- 飲食店舗・オフィス:駅からのアクセスや人通りの多さ
需要のある立地でなければ、どんなに表面利回りが高くても安定運営は望めません。
まとめ|5条件を満たす物件だけを買う
- 適法性
- 積算価格の妥当性
- 経営の自由度
- 融資と収益性
- 需要立地
この5つを満たしていない物件は、どれだけ条件が良く見えても長期的にはリスクが高いです。購入前にしっかり確認し、安定した運営ができる物件だけを選びましょう。
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