賃貸経営において、管理会社は物件運営の「パートナー」です。 私自身も過去に2年間、自社物件を自主管理していた経験があります。 その中で、「管理会社の存在がストレスになることもある」と痛感しました。決して、大手なので安心・高品質というわけでもありませんし、属人性が高いビジネスなので、細やかな把握が重要です。
以下の3つのポイントのいずれかに当てはまる場合、管理会社の見直しを真剣に検討すべきです。
- 本業が「管理」であるか?
- 管理手数料と業務内容が見合っているか?
- レスポンス・清掃・修繕などの管理品質に満足しているか?
本業が「管理」であることが重要
付帯業務で収益を上げる会社には注意
管理会社の中には、防虫剤や定期清掃、修繕工事といった「付帯業務」で主な収益を上げている会社があります。
しかし、そういった会社では、
- 実際の工事内容を把握していない
- 清掃や修繕の品質チェックをしていない
- 無理にオプションを押し付けてくる
といった実態があることも。
例えば「月4回の定期清掃費」が請求されていても、現地は週1回掃除しているはずなのにゴミだらけ、なんてことも。
これは私自身が経験したことです。 管理会社の担当者は実際の現地に来たことすらないようなケースもありました。
管理会社はあくまでオーナーの補助役であり、業務の透明性と説明責任が重要です。
商流と立場の認識が逆転していないか?
最近は、管理会社側が用意したプラットフォーム(SNSや専用サイト)に、オーナー側がレントロールなどの資料を取りに来るよう求めてくることもあります。
しかし、本来はオーナーが費用を払う立場。そのため、管理会社はオーナーに合わせる姿勢が必要です。
私の運用例では、ビジネスチャット上に物件ごとのルームを作り、 そこに管理会社を招待して、
- 補修・清掃報告
- レントロール
- その他情報共有 を行っています。
「報告はこの方法でお願いします」と明確に伝えることが大切であり、協力してくれる姿勢がある会社か否か見極める必要があります。
管理手数料と業務内容が見合っているか?
管理料「3%」は妥当な水準か?
最近の賃貸管理業務では、
- 家賃督促 → 保証会社が対応
- トラブル → 月額24時間サービスが対応
- 修繕 → 外注手配のみ
といった構造の変化があり、実質の業務量は以前より大幅に減っています。
この実態を踏まえると、管理料3%でも十分に採算が合う構造です。実際に自身の保有物件の大部分は3%で管理いただいています。
入退去の頻度が年1〜2回の物件であれば、繁忙期以外の期間は手間がほとんどかかりません。
「管理」に注力しているかがポイント
大手管理会社では5%以上の手数料を求められることもありますが、 実際は交渉次第で3%程度に収まることもあります。
問題は、「3%かどうか」よりも、その管理料の内訳が明確であるかどうか。
- 防虫剤や防犯点検など、オプションを強引に契約させられていないか?
- 補修や清掃費が適正か?
- 「管理外業務」で利益を出す構造になっていないか?
こうした点も含めて、“本当に管理業務に専念しているか”が判断基準です。
管理の質は「レスポンス・清掃・修繕」で測る
レスポンスが遅い・不明瞭な場合は要注意
私が管理会社を見るうえで、最も重視しているのが「レスポンスの速さと明確さ」です。
- 質問に対して的外れな回答が来る
- 質問から回答まで数日要する
- 担当者が頻繁に交代し、引き継ぎが不十分
- 電話など、口頭のやりとりだけで済まそうとする
こうした兆候がある場合、トラブル時の対応も遅れる・曖昧になる可能性が高いです。
不動産業界では「言った言わない」が非常に多く、記録に残す習慣があるかは非常に重要です。
清掃品質のバラつきと報告の欠如
例えば「週1回清掃の契約」なのに、現地はゴミだらけ…
これも実際に私が遭遇したケースです。
清掃は外注していることが多く、管理会社が現地確認すらしていないこともあります。
必ずしも写真付きの報告である必要はありませんが、
- 「入居者のゴミ捨てマナーが悪い」
- 「張り紙が剥がれている」 など、状況を逐一知らせてくれる清掃会社は信頼できます。そのような清掃会社とのお付き合いのある管理会社であれば、まだ安心ですが、現地確認を怠る管理会社は単純に信用できませんよね。
細やかな管理ができているかどうかが信頼の鍵。 その感覚が合わない場合、他社へ切り替える選択も視野に入ります。
修繕費が相場より高額では?
退去後の清掃やクロス張替えの見積が高すぎる、と感じたことはありませんか?
私も実際に、クロス張替えで「ん?」と思った見積もりを受け取ったことがあります。
知人の建築業者に相見積を依頼し、 さらに近年ではChatGPTなどのAIを用いて、地域と工事種別を入力して相場を確認したところ、明らかに周辺相場より高いと判断できました。結果として、価格交渉を行い、希望金額で工事を施工して頂きました。
相場の把握方法として例えばクロスの貼り替えを例に取ると、概算工事原価は以下の合計で算出できます。
- 人件費(日当)
- 材料費(クロス等)
- 作業日数 などから概算の原価を把握することも可能です。
私の感覚として、概算工事原価から30%以上高額である場合は、根拠とともに交渉を行います。相場感を知ることが、ムダな支出を防ぐ第一歩です。
管理会社を変更する際の注意点
まずは次の管理会社を探す
「今の管理会社に不満がある!」と思っても、すぐに解約連絡を入れるのは避けましょう。
まずは新しい管理会社を先に選定し、その会社に引継ぎ対応をしてもらうのが基本です。
実際の書類のやりとりや、管理会社変更の通知も新会社が代行してくれます。
感情的になるとこじれることもあるため、旧管理会社との連絡は最小限に抑えるのがコツです。
新しい管理会社に伝えるべきポイント
以下の条件について、最初の打ち合わせで必ず確認しましょう:
- 管理料(3%目安)
- 清掃・修繕費の概算(事前に単価の確認)
- リーシング対応(スピード・実績)
- 書類提出・連絡方法(PDF、メール、チャットなど希望形式)
最近は「独自SNS」などに資料をアップする形式が増えていますが、オーナーが情報取りに行くのではなく、管理会社が希望に合わせるのがスタンスとしては筋です。
私は、物件ごとにビジネスチャットツールを用意し、補修やレントロール、報告もすべてそこにアップしてもらう形で運用しています。
チェックリスト:当てはまれば見直し検討!
以下のうち1つでも当てはまる場合は、変更を前向きに検討してみましょう。
- 担当者の返信が遅い、または内容が曖昧
- 担当者が頻繁に交代して引き継ぎが甘い
- 口頭でのやり取りばかりで記録が残らない
- 清掃契約を行っているのに、現地が汚い
- 清掃や修繕費が高すぎる、内容が不明瞭
- トラブル対応がサービス会社丸投げ
- 対応ごとに別途費用が多い
- 管理料が5%以上で対応に不満がある
- 書類提出・連絡方法が管理会社主体である
おわりに
私はこれまで9棟100戸ほどの不動産経営を行っており、 また自社物件の自主管理も経験してきました。
だからこそ断言できます。
管理会社は「物件を守るパートナー」であり、オーナーが最も信頼できる存在であるべきです。
少しでも違和感がある場合、感情ではなく「仕組み」と「数字」で見直しの判断をすることをおすすめします。
信頼できる管理会社とともに、より良い賃貸経営を目指していきましょう。
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